頭良くなりたい人

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超数弱が京大文系数学にどう立ち向かうか

こんにちは,shadeです。

私は一浪して予備校に通い,京都大学(文系)に合格しましたが,現役時は独学をしていました。教科書の内容すら全範囲は扱われないような高校だったので,基礎から自力で勉強する必要がありましたが,良い勉強方法がわからず,現役時は数学「だけ」のせいで落ちたと言っても過言ではありません(得点率およそ1割)。

そんな私でも,予備校生活の一年間で数学力は格段に伸びました。

現役の頃と浪人生活の一年では何が違ったのか考えました。もちろん予備校に通える方は通えば良いのかもしれませんが,数学がとても苦手だけど京大を目指したいという方に向けて,自分が使った参考書なども思い出しながら,今の自分が独学するならこうする,という内容を書いていきたいと思います。

参考書ルート例

まず,参考書ルート例を紹介しておきます。

青チャート

チャート式基礎からの数学I+A

チャート式基礎からの数学I+A

  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
チャート式 基礎からの数学Ⅱ+B

チャート式 基礎からの数学Ⅱ+B

  • 発売日: 2019/11/01
  • メディア: 単行本

『Focus Gold』や『NEW ACTION LEGEND』など,他に持っている網羅系参考書があればそれで構いません。

『数学 軌跡・領域 分野別標準問題精講』

数学 軌跡・領域 分野別標準問題精講

数学 軌跡・領域 分野別標準問題精講

  • 作者:亀田隆
  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: 単行本

数学の勉強の本筋,という参考書ではないのですが,数学の問題に対する意識を変えてくれた本なので紹介しておきます。

『世界一わかりやすい 京大の文系数学 合格講座』(せか京)

独学で京大を目指すなら外せない好著です。

過去問

過去問集には赤本や『27カ年』(教学社),青本や『入試詳解25年』(駿台)などいろいろな選択肢があります。

どれでも良いのですが,私が使ったのはこの『入試の軌跡』です。本自体が薄くて持ち運びやすい(意外と大きなメリット)ですし,『大学への数学』らしい華麗な解答や,受験者による「受験報告」のコーナーがあり,直前期に楽しく取り組めます。とりあえず赤本か青本のどちらかは買うと思うので,解答を見比べる意味でもおすすめしておきます。

数学で何点取るのか

京大数学は年によって難易度にばらつきがあり,2010年代前半は大人しかったものの,それ以降は徐々に難度が上がり,2020年度は「近年では一番難しいセット」(駿台)でした。

そのため明確な目標点を設定しづらいですが,直近数年に関して言えば,数学の重要度が高い経済学部で5割他学部では4割程度が最低目標ラインだと思います(数学が苦手な人に向けた記事なので,低めに言っています)。数学が易化した年などは,経済学部ではもっと高得点が求められます。

具体的な勉強法

それでは,具体的に参考書などをどう取り組むかについて説明していきます。

青チャートの取り組み方

一番重要なステップで,ここがおろそかだと終わります。

私も現役時に青チャートに取り組んだのですが,ほとんど身になりませんでした。理由は単純で,青チャートに紹介されている解法がなぜそうなるのかを全く考えていなかったからです。

「青チャートを完璧にすれば受験数学は完璧」というのはおそらく真実なのでしょうが,実際には数学が苦手なほとんどの人は,ただ問題を解いて解答を暗記するという方法で効率的に伸びることはないだろうと思います。

誰でもやっているように例題から解き進めていくのですが,考え方を変えてください。覚えなければならないのは解答ではなく,各章の最初にある「基本事項」や,例題のページに書いてある「指針」(青チャートの場合)です。類似の参考書にも似た欄があると思います。

ここには,超基本の定石や,問題をどう読み替えるかや,何と何が同値であるかや,数式の条件と図形の条件がどう対応しているかなど,数学的に当たり前のことが書いてあります。ここに書いてあることが本当に理解できているかを確認してください(必要であればその都度教科書などを確認)。これを理解せずに,例題の解答を暗記しようとしても頭に入りませんし,少し見た目が変わった問題になると途端に手が止まる,ようなことが起こります。

逆に「基本事項」や「指針」さえ理解してしまえば,解答はそれを使った作業ですから,わざわざ暗記する必要もなくなります。

最後にどの問題まで取り組むか,という問題ですが,「例題」と「類題」はきっちりやりましょう。「EXCERCISE」はできればやった方が良いです。「総合演習」はレベルが高いのでとりあえず後回し。私は結局やりませんでした。

※ちなみに,上に挙げた『軌跡・領域 分野別標準問題精講』は独学では身につけにくい「同値変形」や「逆像法」など,方程式・不等式分野の理論について掘り下げて解説されている良書です。この分野について,青チャートはこなしたけれど理解しきれていない,というような人におすすめです。

せか京の取り組み方

青チャートをマスターすれば,理論上は過去問に行って構わないと思うのですが,実際には厳しいと思います。

その理由としては,京大の過去問が難しい,というのは確かにあるのですが,京大の問題が誘導が少なく,発想が必要である,ということが大きいと思います。

そこで取り組む参考書が,上に挙げた『せか京』です。この本では,京大で出題されるテーマが36個,過去問が各2題で計72題(改訂前の情報です)挙げられており,各問題について問題をどう「理解」し,どのような「計画」で解いていくのか,という解答プロセスが非常に詳しく説明されています。各ページには重要な定石が散りばめられており,いろいろな問題に応用が効きます。

まずはじっくりと考えてみてください。わからなければ「理解」を見て,それでもわからなければ「計画」を見て,というように時間をかけて演習するのがこの段階では大事です。

取り組む時期は,青チャートが終わったらすぐです。この本は過去問集ではありますが,直前期にやる教材ではなく,過去問演習に入るためのつなぎとして用いるものです。

気になった方はぜひ書店で一度見てみてください。これは買いです。

過去問の取り組み方

さて,とうとう過去問演習に入るわけですが,意外と言うことがありません。

この時点で時間的に余裕がある人(まだ秋など)は,『27カ年』や『入試詳解25年』をガリガリ解いて良いと思いますが,私は浪人時は他のテキストがあったこともあり,過去問は時間を計りつつ5題セットで演習をしていきました。この時期は,どれが取るべき問題で,どれは捨てても良いのか,という見極めも意識しながら練習しましょう。

最後に

京大の文系数学は確かに難しいのですが,ある程度数学ができるようになると,京大模試などでも「周りもそれほどできるわけではない」ことに気がつくと思います。京大入試は科目数が多いので,数学のビハインドを他でカバーすることも可能です。この記事でいえば青チャートの段階が一番重要です。基本さえ抑えれば勝負できるので,数学が苦手でもできる限り頑張ってみてください。

2021年1月25日 リンク更新